皆さんは魚の正しい数え方をご存知でしょうか?
魚は海や川で泳いでいたりスーパーで丸ごと売られていたりする魚と、切り身になった魚では同じ魚でも数え方に違いがあるんですよ。

ここでは魚の種類ごとの単位や読み方などをご紹介します。
魚の数え方は色々!種類ごとの単位や読み方まとめ
日本語には単位が数多く存在する
普段何気ない会話の中で、ものの単位や数え方が気になるというとはあまりないのではないでしょうか?
動物や本、野菜などものによっていろいろな数え方の単位が存在していますよね。
普段何気なく使っている単位ですが、正しい数え方は何だろう?と気になったことがある方も多いはず。
特にお子さんがいるご家庭だと、数え方を聞かれたときにいい加減な答え方はできませんよね。
日本で生まれ育っている方は、日本語が難しいと感じることはあまりありませんが、外国人からは日本語は非常に難しいといわれています。
その理由のひとつが、日本語には単位が数多く存在するからです。
例えば、木の本数を数えるときでも、1本なら読み方は「ほん」、3本なら読み方は「ぼん」、6本なら「ぽん」といった具合に前につく数字で読み方が変わってきます。
他にも単位の読み方が変わるだけではなく、いろいろな数え方があります。
数の数え方を助数詞といい、日本には500種類以上もの助数詞があるといわれています。
例えばウサギは1匹2匹ではなく、1羽(いちわ)2羽と数えますよね。
動物なのに鳥のような数え方をするのは、ウサギの耳が鳥の羽だと考えられたからといわれています。
そして最近ではあまり見かけなくなったタンスですが、タンスは1棹(ひとさお)という数え方をします。
このような珍しい数え方がされるものは、よくクイズ番組などで出題されるので知っている方も多いのではないでしょうか?
こういったものの数え方の単位や読み方は、日本語の奥深さを感じますが、日常的に使われないことも多く、日本人でもあやふやなものもありますよね。
他にも同じものでもその形状が変わるだけで単位が変わるものなどもあります。
そのうちのひとつが魚です。
魚は1匹と数える方もいれば、1尾と数える方がいますが、一体どちらが正解なのでしょうか?
数え方の単位には知ると面白い語源や由来が隠されていて、日本語の面白さを感じることができます。

そこでここでは魚の種類ごとの単位や、その読み方などをご紹介します。
魚の数え方は変化する?
食卓に並ぶことも多い魚ですが、魚を数えるとき、1匹2匹という数え方以外で数えられているのを聞いたことはありませんか?

同じ魚を数えるのに単位が違うのは不思議ですが、魚の数え方はその状態や形状などによって変化します。
魚の種類ごとに数え方がある
魚にはたくさんの種類があるように、その種類によって数え方が違うことをご存知でしょうか?一般的には1匹2匹、もしくは1尾2尾と数えますよね。どうして匹という単位と尾という単位を使うのでしょうか?どうやってこの単位を使い分けているのか気になりますよね。魚を数える単位は、匹や尾以外にもいろいろあるんですよ。
普段耳慣れない単位を使って数える魚もあります。それらにはすべて由来があって、正しい数え方を覚えるだけではなく、その由来を知るのも面白いですよ。
生きた魚と切り身の数え方は違う
魚の数え方にはいろいろな単位があります。例えば生きた魚とスーパーに並んでいるような切り身の魚でも数え方が違います。これは、生きている魚と切り身になっている魚では、同じ種類の魚であっても形状が違っているためです。日本語の面白さと奥深さを感じますね。
魚の数え方<匹>
魚の数え方のひとつが「匹」です。読み方は「ひき」で、1匹2匹と数えます。魚の数え方の中でもっとも一般的な単位です。匹という単位は魚だけではなく、犬や猫などの動物を数える単位としても使われるので、身近な単位のひとつですよね。
匹という漢字はついになっているものをあらわしています。古くから馬は身近な動物で、田や畑を耕すときに馬を使っていました。馬のお尻が割れていることから、お尻が2つに割れているものを匹という単位で数えるようになりました。そこから馬だけではなく、動物全般や虫、魚などの生き物全般を数えるときに、匹という単位が使われます。
魚の場合、生きていて海や川で泳いでいるものを匹という単位を使って数えます。水揚げされて魚屋さんやスーパーに並んでいる魚は匹という単位を使って数えません。水揚げされて商品になった魚はり身でない魚は尾という別の単位で数えられます。さんま1尾〇〇円と書かれた値札を見たことはありませんか?生きている状態かそうでないかで魚を数える単位が変わります。
大型の魚は頭
生きて泳いでいる魚は匹で数えられるのが一般的ですが、サメなどの大型の魚に対しては頭という単位が使われます。読み方は「とう」で1頭2頭と数えます。頭という単位は大型の魚だけではなく象などの大型の哺乳類にも使われます。そのため哺乳類のクジラも1頭2頭と数えられますね。大型の魚も生きているときには頭と数えますが、切り身などに加工されると枚という単位になります。
魚の数え方<枚>
魚の数え方には枚という単位も使われます。読み方は「まい」で、1枚2枚と数えます。枚という単位を使うのは、平たい魚を数えるときです。平たい魚といえば、ヒラメやカレイです。枚という単位は、紙やお皿など薄いものを数えるときに使う単位ですが、魚も薄いものはこの枚という単位が使われます。
ヒラメやカレイ以外の平たい魚といえば、太刀魚も当てはまります。でも太刀魚の数え方は枚を使いません。太刀魚は平たさよりも長さが特徴的な魚なので、枚よりも本という単位で数えられるのが一般的です。
またヒラメやカレイのように形状が平たい魚に対してだけではなく、3枚に開いた加工された魚に対しても使われます。アジやサンマはそのままの状態では尾や本という単位を使って数えられますが、加工してアジの開きやサンマの開きなど薄くした場合には、枚という単位が使われます。
魚の数え方<柵>
魚の数え方には柵という単位を使うこともあります。読み方は「さく」で1柵2柵といった数え方をします。柵という単位が使われるのは、マグロに対してです。マグロは魚の中でもいくつもの数え方があり、海で泳いでいるときには1匹、水揚げされると1体、解体されて頭と背骨を落として半身になったものが1丁、1丁を短冊状に切り分けたものを1柵と数えます。
ちなみにブロック状の肉片は、ひところふたころという単位で数えます。1柵の大きさは、お寿司屋さんのショーケースで見かけるサイズです。この1柵がさらにお手頃サイズになって、パックに入っているものはスーパーなどでもよく見かけますが、数え方は1パック、お刺身になるものを1切れという単位で数えます。
魚の数え方<尾>
魚の数え方の単位として1匹2匹と並んでよく見聞きするのが尾という単位です。読み方は「び」です。1尾2尾と数えられるのは、生きている魚ではなく水揚げされた魚に対してです。水揚げされたすべての魚が1尾2尾という単位で数えられるわけではなく、大型の魚や小魚はまた別の数え方の単位があります。
魚の生死によって匹と尾という単位を使い分けるのではく、生き物か商品かというのが魚を数えるときの重要なポイントです。例えば海や川、水族館で泳いでいる魚は匹と数えますが、いけすの魚は生きている状態でも尾と数えるからです。これはいけすの魚が生き物ではなく商品だからです。助数詞の辞書では生死が使い分けの基準とされていますが、こちらの方がしっくりきますね。
そして魚の大きさによる数え方の違いもあります。大型の魚の代表といえばマグロですが、マグロは水揚げされると尾ではなく、1本2本と数え、サンマやイワシなどの細長い魚も同じく1本2本と数えます。そして細長い小魚は条や筋いう単位を使って数えられます。読み方は「じょう」「すじ」になります。
魚の数え方<種類別の数え方>
魚は生きて泳いでいるとき、水揚げされたとき、魚の形状によって数え方の単位が違います。基本的には海で泳いでいるときは1匹、水揚げされたら1尾、平たい魚は1枚といった単位を使って数えます。でも魚の種類によっても数え方が違います。
種類別の数え方①鮭
朝ごはんなど食卓に並ぶことも多い鮭。鮭は日本の文化に深いかかわりがあります。平安時代には貴族が鮭を食べていたという記録が残っています。鮭は生きているときには1匹と数えます。そして水揚げされたら1尾と数えます。ここまでは基本的な数え方通りなのですが、新巻鮭や塩漬けなどに加工され鮭は1本、それを切り分けると1枚もしくは1切れ、1枚と数えます。
鮭といえば美味しいのは身だけではなく、いくらや筋子もそうですよね。いくらや筋子を数える単位は左右セットで1腹と数え、読み方は「ひとはら」と読みます。左右どちらかの場合は片腹という単位を使って数え、読み方は「かたはら」です。
種類別の数え方②鯉や鯛
お祝い事に欠かせない高級魚の鯛や、室町時代の武家の間で珍重されていた鯉も特殊な数え方をする魚です。どちらも生きているときには1匹、水揚げされると1尾と数えます。鯛の場合は、水揚げ後は1枚と数えられることもあります。
珍重されていた鯉や高級魚の鯛は、竹かごや箱に入れて運ばれていて、その竹かごや箱を数える単位は折といいます。読み方はおりで1折り2折りと数えられていたことから、現在でも鯉や鯛を1折りと数えることもあります。鯛をかたどったお菓子のたい焼きは、匹や個という単位で数えられます。
種類別の数え方③鯖
鯖も生きているときには1匹と数えます。水揚げされると、1尾や1本と数えられます。鯖は「サバを読む」という有名な言葉がありますが、そのサバとは魚の鯖のことです。青魚である鯖は大量に獲れるので、急いで数えなければいけないため、数が合わないことが多かったことが語源だといわれています。
種類別の数え方④イカ・タコ・カニ
正式には魚ではありませんが、同じ魚介類として、イカやタコ、カニがあります。基本的には魚と同じで、海で生きているときには1匹と数えますが、水揚げされると杯もしくは盃という単位を使います。読み方はどちらも「はい」です。
杯という漢字は、同部分が丸くて甕のような形の容器をあらわしています。この容器に似ていることから杯という単位が使われているようです。タコはイカのように胴体部分に何かを入れられるような形をしていませんが、同じ軟体生物なので同じ単位で数えられています。カニも甲羅を器にすることができますから、同じくこの単位が使われています。
種類別の数え方⑤エビ
エビはお節料理に加えられる縁起の良いものです。エビには長いひげがあって、体を折り曲げているところからお年寄りに例えられます。エビの数え方は基本的な魚の数え方と同じで、生きているときは1匹2匹と数え、商品として並ぶと、1尾もしくは1本と数えられます。またパックに入って売られているものは1パック、袋詰めされているものは1袋と数えます。
種類別の数え方⑥カツオ
かつおのような大きめの魚は、生きているときには匹、水揚げされたものは本という単位を使って数えるのが一般的です。かつおは3枚におろし、背中側は男節(おぶし)、お腹側は女節(めぶし)といい、節という単位で数えられます。読み方は「ふし」で、1節2節と数えられます。
種類別の数え方⑦イワシ
2月の節分で頭を玄関に飾られるイワシですが、イワシも特殊な数え方をする魚のひとつです。生きて泳いでいる状態は匹、水揚げされると尾で数えられます。イワシは生のままではなくめざしなどに加工されて販売されていることもありますね。めざしになっていれば連と数えます。読み方は「れん」で、1連2連と数えます。
種類別の数え方⑧ニシン
魚も卵も美味しいニシン。ニシンは生きて泳いでいるときには匹という単位で数えられます。そしてニシンは缶詰として加工されることも多く、缶詰加工されると単位は缶になり、1缶2缶と数えられます。そして缶詰から取り出して調理してお皿に盛りつけられたものは本という単位で数えられます。ニシンも鮭同様に、40尾をまとめて1石と数えられることもあります。
種類別の数え方⑨ウナギ
ふっくら甘みがあって美味しいウナギ。高級魚のウナギもそのままの状態だと匹という単位で数えられますが、調理方法で数え方が変わる魚です。ウナギを開いてかば焼きにしたものは枚、串を刺して焼くと串となります。そして進物としてウナギを献上するときには、1筋と目録に記載します。お土産に人気のウナギパイは、枚で数えられます。
番外編!魚の年齢の数え方
魚にも人間や他の動物同様に年齢があることをご存知でしょうか?魚の年齢を調べるには、鱗や耳石を調べます。耳石は人間の耳の中にも存在するもので、カルシウムの塊です。木の年齢を知るには年輪を数えますが、魚の年齢を知るにも耳石に刻まれた年輪を確認すればわかります。耳石に刻まれた年輪を輪紋といいます。
耳石を取り出すのは火を通してからの方がやりやすいです。
やり方は、耳石がある頭部を茹で、耳石を覆っている骨をゆっくりと外します。
耳石は薄いので丁寧に優しく扱わないと割れてしまうので注意が必要です。
肉眼で輪紋を確認することは難しいので、低倍率の顕微鏡を使って確認しましょう。

鯛やヒラメなどは耳石を取り出しやすいですよ!
魚の数え方を正しく使おう!
魚は1匹2匹と数えている方も多いですが、魚の大きさや種類、そして形状によっても数えられる単位が違います。
匹や尾、枚、柵、本、連など非常に細かいです。
特に鮭や鯖など、魚の種類によって特別な数え方をする魚や、その語源は知っていると博識でカッコいいですよね。
日本人でも魚の正しい数え方の単位を知っている方は意外と少ないので、それが正しく数えられると自慢できますよね。
魚の正しい数え方の語源をこの機会に調べてみても良いのではないでしょうか?
魚は健康のためにもとても良い食材ですから、食卓にも積極的に取り入れたいものです。

食卓に並んでいる魚の数え方やその由来などを知れば食事中の話題も豊富になりますよ!