「学資保険、入った方がいいのかな」
「みんなどれくらいの金額で設定してるんだろう」
こうした漠然とした疑問、実は多くの方が感じています。
ですが、最初にハッキリお伝えしたいのは、学資保険は“なんとなく”で金額を決めると後悔しやすいという点です。
たとえば、毎月5,000円を10年払っても、受け取れる満期金は約60万円程度。
大学進学費用としては少し心もとないですよね。
逆に、無理をして月2万円に設定したものの、家計が圧迫されて途中で解約してしまっては元も子もありません。
大切なのは「いくら必要か」から逆算して「無理なく払える金額」で設計することです。

今回は、教育費の目安や実際のシミュレーション例を交えながら、「うちの家庭ならこのくらい」と納得感のある金額を決めるための考え方を、わかりやすくお伝えしていきます。
教育費のゴールを明確にする|まずは子どもの進路を想定しよう
学資保険の金額を決めるには、まず「最終的にいくら必要か」を見積もることが最優先です。教育資金というのは、子どもの進路によってまったく異なります。
たとえば、以下のような差があります。
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【高校まで公立→大学も国公立】→ 約800万円
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【高校から私立→大学も私立文系】→ 約1,200万円
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【私立医歯薬系】→ 2,000万円以上にも
文部科学省の調査をもとにしても、公立と私立では2〜3倍近い差が出ることがわかっています。
もちろん、現時点で「子どもが将来どんな進路を選ぶか」なんて予測は難しいと思います。
でも、平均的な進路(大学進学まで)をひとまず想定しておくだけでも、学資保険の設計はグッとしやすくなります。
さらに、夫婦で「どんな教育環境を与えたいか」を共有しておくことも重要です。

たとえば「本人が望むなら私立でも行かせてあげたい」と考えるか、「基本は公立で、余剰資金は習い事に回したい」と考えるかで、準備すべき金額は大きく変わってきます。

受け取り時期は“大学入学時”が現実的|費用逆算で金額を見積もる方法
学資保険の多くは「大学入学時」に満期金を受け取ることを想定しています。
なぜなら、大学入学時が最も教育費がかかるタイミングだからです。
入学金・授業料・教科書・受験費用・一人暮らし準備費・家電購入など、まとまった出費が集中するのがこの時期。
文部科学省の統計では、私立大学の初年度納付金平均は約131万円にものぼります。
この金額を一括で支払えるようにするために、学資保険を活用するわけですね。
では、具体的にどうやって月額保険料を決めていくか、計算例で見てみましょう。
【例】18年間で300万円を用意したい場合(返戻率110%の保険)
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300万円 ÷ 110% ≒ 273万円(支払う総額の目安)
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273万円 ÷(18年×12ヶ月)= 約12,700円/月
このように逆算すれば、「月1万円強で300万円近く用意できる保険に入れるんだな」と具体的なイメージが湧きますよね。

返戻率が高い商品を選ぶかどうかでも月額は変動しますので、あくまで“目安”として試算し、複数プランを比べてみるのがオススメです。

長期視点で家計全体を考える|シミュレーションの活用方法
学資保険にいくらかけるかを考える際、つい「このくらいなら払えそうかな」と月々の金額だけで決めてしまいがちです。
でも、保険料は10年~18年という長期にわたって支払うもの。
だからこそ、“今”払えるかだけでなく、“これから先も無理なく続けられるか”をしっかりシミュレーションしておくことがとても重要です。
貯金・保険・運用のバランスを見える化するのが大切
学資保険はあくまで「教育資金の一部を確保する手段のひとつ」です。
たとえば、以下のような3つの手段をバランスよく組み合わせている家庭も少なくありません。
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【預貯金】:急な出費に備える生活資金(自由度が高い)
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【学資保険】:目的がハッキリしていて強制的に積立が可能
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【運用商品(例:ジュニアNISAなど)】:増やすことを狙った選択肢
この3つの役割を「同時に使う」ことで、リスク分散しながら堅実に教育資金を積み上げることができます。
「全部学資保険に任せる」でも「運用だけで勝負」でもない選択が、実は一番安定するんですね。
FPに頼る?それともネットで無料シミュレーション?
シミュレーションの方法としては、大きく分けて2つのパターンがあります。
① ファイナンシャルプランナーに相談する
メリットは「家庭の支出構造やライフプラン全体から見てアドバイスをもらえる」点です。
ただし、営業色の強い担当者に当たると、特定の保険商品を強引にすすめられるケースもあるため、注意が必要です。
② ネットの無料シミュレーションを活用する
最近では保険会社や比較サイトが提供しているシミュレーションツールも増えてきました。
年齢や希望金額、受け取り時期を入力するだけで、月額の目安がすぐに出るので、手軽に試してみたい人におすすめです。
どちらを選ぶにしても、「1つの情報だけで決めない」「2〜3社を比較する」という視点があると安心です。
学資保険の目的を見直そう|“貯蓄”か“保障”かで金額は変わる
学資保険とひとことで言っても、実はタイプによって中身が全然違います。
金額設定で迷っている人は、そもそも「何のために加入するのか」という目的を明確にすることで、自分に合ったタイプと保険料のバランスが見えてくるはずです。
貯蓄重視型|強制貯金+税控除メリットを狙うならコレ
いちばん多くの家庭が選んでいるのが、この「貯蓄型」です。
毎月一定額を積み立てていき、満期になると教育費として一括で受け取れるタイプです。
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高い返戻率(100〜110%)を狙える
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所得控除対象なので節税効果もあり
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シンプルで仕組みがわかりやすい
ただし、保障機能はほぼなし。
あくまで「教育費の積立が目的」だと割り切って使うのが合っています。
保障重視型|親に万が一があったときの備えにするなら
もうひとつは、保険らしい“保障機能”がついたタイプです。
契約者が死亡・高度障害になった場合、その後の保険料が免除され、満期金は予定通り支払われる仕組みです。
さらに最近では、子ども本人の医療保障が付帯しているプランも増えてきました。
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契約者にもしものことがあっても教育資金が確保できる
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医療費がかかる時期の安心材料になる
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ただし、保険料はやや高め&返戻率は低め(90%台)
どちらを重視するかで月額保険料は大きく変わります。

家計の中で「貯蓄」と「安心」のどちらを優先したいのかを整理するだけでも、無理のない金額が見えてきます。
結論|学資保険の保険料の相場は月5,000〜15,000円が目安
学資保険の金額設定において、「うちの場合はいくらが妥当?」という疑問に対しては、一般的な目安として「月5,000円〜15,000円」の範囲で設計する家庭が多いというのがひとつの答えになります。
「えっ、こんなに幅があるの?」と思った方もいるかもしれませんが、それにはちゃんと理由があります。たとえば…
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月5,000円:最低限の積立で“足し”にしたい家庭
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月10,000円:大学進学費用の一部をしっかりカバーしたい家庭
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月15,000円以上:将来的な選択肢を広げるための本格積立を目指す家庭

どの金額が“正解”というわけではなく、大切なのは「家庭の収入や教育方針に合った設計にする」ことです。

無理のない金額が“継続”を支える最大のポイント
どんなに立派な設計でも、数年で支払いが苦しくなって解約してしまったら意味がありません。
特に、途中解約は返戻率が著しく下がる可能性があり、元本割れするリスクが高いです。
だからこそ、“今の収支”だけでなく、“将来の支出”も見据えた長期的な視点で設定することが重要になります。
たとえば、子どもが複数人いる家庭では「2人目、3人目の教育費」も視野に入れておかないと、将来的に保険料が家計の負担になってしまいます。

収入に波がある職業の方や、将来の転職・育休などを見込んでいる方は、あえて低めに設定しておくのも選択肢の一つです。
その他の金融商品との使い分けも意識しよう
最近では、こどもNISA(ジュニアNISA)やiDeCoなども含めて、“教育費を準備する手段”が複数ある時代になっています。
学資保険だけで全額をまかなうというよりは、
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保険:確実性・積立性重視
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NISA:増やすことを目的に運用
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預貯金:いつでも引き出せる安心資金
といったように、複数の資産形成ツールをうまく併用することで、無理なく、かつリスクも抑えながら教育費を準備できます。
よくある質問|金額設定に関する親のリアルな悩みを解消します
ここでは、実際に多くの方が疑問に思う「学資保険の金額設定」に関する質問を取り上げてお答えしていきます。

「うちの場合はどうすれば…?」という具体的な悩みに寄り添う形でまとめました。
共働きじゃないと学資保険は難しい?
そんなことはありません。大切なのは「金額の設定を無理なくすること」です。
たとえば、月1万円の保険料が難しいなら、5,000円で契約して「残りは預貯金や児童手当で補う」という考え方もOKです。
「学資保険=高額」というイメージを捨てて、自分の家庭に合った形で設計すれば十分役立ちます。
2人目・3人目の学資保険、どう捻出すればいい?
お子さんが増えると、学資保険の掛け金も当然倍になります。
そのため、1人目と同じプランを組むのが難しく感じることも多いです。
この場合は、兄弟ごとに学資保険+貯金+NISAなどをうまく組み合わせて分散して備えるのがおすすめです。
また、子どもが3人以上いる家庭では、「全員に保険をかけるのではなく、大学入学予定の長男だけを手厚く」といった選択をするケースもあります。
途中で金額を変更できる保険ってあるの?
学資保険の中には、一定期間経過後に保険料を見直せる商品もあります。
たとえば「子どもが幼いうちは5,000円、余裕が出てきたら1万円に増額する」などの柔軟な運用が可能なプランです。
ただし、商品によっては増額できないものや、変更時に再審査が必要になる場合もあるので、契約前に「保険料の変更可否」「追加手続きの有無」などをしっかり確認しておくのが安心です。
まとめ|学資保険は“家族の未来像”から金額を逆算するのがコツ
学資保険はただの「貯金代わり」ではありません。
親としての想い、「どんな進路を応援したいか」「将来どんな負担を減らしてあげたいか」――そういった家族の未来像を形にするための選択肢です。
月いくらが正解かは、家庭によって全く違います。
ですが、「無理なく続けられる」「満期時に必要な金額がちゃんと用意できる」この2つが両立できていれば、それが“正しい金額設定”といえるでしょう。
最後にもう一度ポイントをまとめます。
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学資保険の月額は5,000〜15,000円が一般的な目安
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教育費のゴール(大学入学時)から逆算して考える
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貯蓄・保障・運用のバランスも忘れずに
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シミュレーションと比較は必ず複数社で行う
今この瞬間の決断が、数年後、進学を控えたお子さんにとって大きな支えになります。

「なんとなく」で決めず、家族にとって最善の形を見つけて下さいね。